こんにちは、MONです。今日はひるおびで取り上げられていた“大人虫歯”の原因「ちびだら習慣」についてお話しします。
番組では、日本歯科大学の羽村章特任教授が、大人の虫歯が増える原因として「ちびだら習慣」を挙げ、予防にガムが効果的だと解説していました。この記事では番組の内容に加えて、そのカギになる「口の中のpH(ペーハー)」について、食後にどう変化するのか、食べ物で違いはあるのかを詳しく見ていきます。
結論
- 虫歯のリスクを左右するのは、食べる「量」よりも「回数」と「時間」です。 口の中は食事のたびに酸性に傾き、唾液の力で30分〜1時間ほどかけて中性に戻ります。ちびちびだらだら食べていると、中性に戻る時間がありません。
- 大人は子どもより溶けやすい部分を抱えています。 歯ぐきが下がって露出した歯の根っこは、エナメル質よりも弱い酸で溶け始めます。
- 口に長く残るもの、甘くて酸っぱいものほどpHの回復が遅れます。 飴、キャラメル、甘い飲み物のちびちび飲みは特に要注意です。
- 水・無糖のお茶・牛乳・チーズ・キシリトールガムはpHを下げにくい味方です。 食後に「シュガーレスのキシリトールガムを5分噛む」のが手軽な対策になります。
ここからは、中身をひとつずつ見ていきましょう。
ひるおびで紹介された「ちびだら習慣」とは?
羽村教授によると、「ちびだら習慣」とは食事と食事の間に、少しずつ食べ物やお菓子をだらだら食べ続ける習慣のことです。
- デスクワークの合間にお菓子をつまむ
- 家事をしながら甘い飲み物をちびちび飲む
- 夜にお酒をだらだら飲み続ける
どれも心当たりのある方が多いのではないでしょうか。特に夜のお酒の「ちびだら飲み」は、アルコールの利尿作用で体の水分が減り、歯を守る唾液まで少なくなってしまうため注意が必要だと紹介されていました。
番組では、子どもの虫歯は減り続けている一方で(幼稚園児の虫歯のある割合は19.44%と初めて2割を下回りました)、年齢が上がるにつれて虫歯の経験がある人の割合がとても高くなっていることにも触れていました。
そもそも「pH」って?
pHは、液体が酸性かアルカリ性かを表す物差しです。0〜14の数字で表します。
- 7が中性
- 7より小さいほど酸性(レモンや酢など)
- 7より大きいほどアルカリ性(石けん水など)
ポイントは、数字が1違うと酸の強さは約10倍違うということ。pH5はpH6の約10倍、pH7の約100倍も酸性が強い状態です。「5.5と7なら大差ない」と思いがちですが、歯にとっては大きな違いなんです。
歯の表面のエナメル質は、pH5.5を下回ると溶け始めます。この「歯が溶け始める境目」を臨界pHといいます。
食事をすると、口の中のpHはどう変化するのか?
食後数分で一気に酸性に
口の中は普段、唾液のおかげでpH7前後の中性に保たれています。
ところが食事をすると、歯垢(プラーク)の中の虫歯菌が糖分を分解して酸をつくり出し、食べ始めて数分でpHが急降下します。臨界pHの5.5を下回ると、歯の表面からカルシウムなどのミネラルが溶け出す「脱灰(だっかい)」が始まります。
唾液の力で、30分〜1時間ほどかけて中性に戻る
そこから活躍するのが唾液です。唾液には酸を中和する力(緩衝能)があり、食後30分ほどから1時間ほどかけて、pHは再び7前後の中性に戻っていきます。
中性に戻ると、唾液の中のミネラルが溶けかけた歯に戻っていく「再石灰化」が起こり、歯は修復されます。
この「食事→酸性→中性に戻る」というpHの動きをグラフにしたものは、発見した研究者の名前からステファンカーブと呼ばれています。

「ちびだら」だと、ずっと溶け続ける
1日3食であれば、脱灰と再石灰化のバランスは保たれ、歯は溶けては治るを繰り返します。
ところが、ちびちびだらだら食べ続けると、pHが中性に戻りきる前に次の酸がやってきて、口の中が「虫歯危険ゾーン」に居続けることになります。再石灰化が追いつかず、歯が溶ける一方になってしまうのです。

上のグラフの赤い部分が、歯が溶けている時間です。食事の回数が同じでも、合間の「ちびだら」があるだけで、赤い部分がぐっと増えるのがわかります。
同じ量のお菓子でも、一度にまとめて食べるより、1日に何回にも分けてだらだら食べるほうが虫歯になりやすいのはこのためです。
大人が特に気をつけたい理由──歯の根っこはもっと溶けやすい
「大人虫歯」で見逃せないのが歯の根っこです。
年齢とともに歯ぐきが下がると、本来は歯ぐきに隠れていた歯の根元が露出します。歯の根元はエナメル質に覆われておらず、pH6.0〜6.2程度という、エナメル質よりも弱い酸で溶け始めてしまいます。
つまり、子どもの歯なら耐えられる程度の酸性でも、大人の歯の根元は溶け始めているかもしれない、ということ。大人こそ「ちびだら習慣」を見直す価値があるんです。
食べる物によって、pHの戻り方は変化するか?
変わります。 pHがどのくらい下がり、どのくらい長く酸性が続くかは、主に次の3つで決まります。
1. 口の中に残る時間
- 飴・のど飴:溶けきるまで何分も口の中に糖を供給し続ける
- キャラメル・グミ・ドライフルーツ:歯の溝や歯と歯の間にくっつき、長く残る
- スナック菓子・クッキー:でんぷん質が細かく歯に残り、ゆっくり糖に変わる
こうした口の中に長くとどまる食べ物ほど、pHが下がった状態が長引きます。
2. 糖分の量
砂糖を多く含むものほど、虫歯菌が酸をたくさんつくるため、pHの落ち込みが大きくなります。
3. 食べ物・飲み物そのものの酸っぱさ
糖分に加えて、飲み物自体が酸性のこともあります。身近な飲み物のpHをグラフにすると、次のようになります。

赤いバーはエナメル質も溶けるレベル、オレンジは歯の根元が溶けるレベルの酸性です。
スポーツドリンクや果汁ジュースは「甘い」うえに「酸っぱい」という二重のリスクがあります。ちびちび飲み続けると、まさにひるおびで紹介されていた「長時間の酸性状態」がつくられてしまいます。
なお、飲み物で比べると、pHが中性に戻るのは牛乳が最も速く、次いで水、ジュースが最も遅いという報告もあります。
pHが下がりにくい食べ物・飲み物は?
「じゃあ、何なら安心なの?」という方のために、pHを下げにくい、または口の中を中性に戻すのを助けてくれるものをまとめました。
飲み物
- 水:酸も糖も含まず、食べかすを洗い流してくれる
- 無糖のお茶(緑茶・麦茶など):糖分がなく、中性に近い
- 牛乳:ほぼ中性で、カルシウムやリンを含む
食べ物
- チーズ:口の中をアルカリ性に傾ける働きがあり、含まれるカゼインやリン酸カルシウムが再石灰化を助けるとされています。食事の最後に少し食べる「締めのチーズ」もおすすめです
- 野菜・ナッツ・肉・魚など糖分の少ない食品:虫歯菌のエサになりにくく、よく噛むことで唾液も増える
- キシリトール入りの食品:キシリトールは虫歯菌が利用できないため、酸をまったくつくりません
注意:「糖分ゼロ」でも油断は禁物
無糖の炭酸水、黒酢ドリンク、レモン水などは、糖分がなくてもそれ自体が酸性です。虫歯とは別に、酸で歯が溶ける「酸蝕症(さんしょくしょう)」の原因になることがあります。健康のためにこうした飲み物をちびちび飲んでいる方は、飲む時間を決めたり、飲んだ後に水を飲んだりするとよいでしょう。
ひるおび流・虫歯予防に効果的な「ガム」の噛み方
番組で羽村教授が紹介していたのが、キシリトールガムを使った対策です。ガムには2つの効果があります。
- 噛むことで唾液が増え、酸性に傾いた口の中を中性に戻すのを早める
- キシリトールが虫歯菌の活動を抑え、菌そのものを減らす
効果を得るためのポイントは次の4つです。

5分噛むと、唾液が口の中に十分行き渡り、キシリトールもしっかり口の中に広がるそうです。ちょうど、下がったpHを早く戻したいタイミングにぴったりですね。
今日からできる「ちびだら」対策
- 間食は時間を決めて、ダラダラ食べない
- 飴・キャラメルなど口に長く残るお菓子は、回数を減らす
- デスクや家事中のお供は、水か無糖のお茶に
- 甘いもの・酸っぱい飲み物のあとは、水を飲むかキシリトールガムを噛む
- お酒の合間に水を挟み、寝る前は歯磨きを忘れずに
番組では歯磨きのコツとして、うがいは10ml程度(ペットボトルのキャップ2〜3杯分)の少量で済ませることも紹介されていました。フッ素入り歯磨き粉の成分を口の中に残すためです。
まとめ
- 「ちびだら習慣」とは、食事の合間に少しずつだらだら食べ続けること
- 口の中は食後数分でpH5.5以下の酸性になり、唾液の力で30分〜1時間ほどかけて中性(pH7前後)に戻る
- だらだら食べると中性に戻る時間がなく、歯が溶け続けてしまう
- 大人の歯の根元はpH6.0〜6.2程度で溶け始めるため、大人ほど要注意
- 飴・キャラメル・甘い飲み物は酸性の時間が長引きやすく、水・無糖のお茶・牛乳・チーズはpHを下げにくい
- 食後はシュガーレス・キシリトール50%以上のガムを、5分程度、1日3〜5回
「何を食べるか」だけでなく、「いつ、どう食べるか」を少し意識するだけで、虫歯のリスクは大きく変わります。まずは「ちびだら」をひとつ減らすところから始めてみてはいかがでしょうか。
歯を大事にして、笑顔の日々を送りましょ~!
参考
元記事
pH・臨界pHについて
- 臨界pH|クインテッセンス出版 歯科用語辞典
- 歯の臨界pH(ペーハー)|複十字病院
- 食事の後、お口の中はどうなってるの?|杉沢歯科医院
- Stephan Curve|Caries Process, Prevention and Management: The Diet(dentalcare.com)
食べ物・飲み物について
※この記事は一般的な情報をまとめたものです。pHの値や回復までの時間は、唾液の量や体質、食べた物によって個人差があります。気になる症状がある方は、歯医者さんにご相談ください。


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