こんにちは、MONです。今日は「歯生え薬」という、なんだかワクワクしてしまうような最新医療の話題をお届けします。「生まれつき歯が生えてこない」なんて聞くと、ちょっと珍しい話に思えるかもしれませんが、実は程度の差はあれ、意外と身近なテーマなんです。そして今、日本発のベンチャー企業が開発を進めている「歯生え薬」が、歯科医療の常識をガラリと変えてしまうかもしれない…と話題になっています。今回は、先天性部分無歯症の基礎知識から、今できる治療法、そして注目の「歯生え薬」の仕組みや今後の展望まで、まとめてみました。
先天性部分無歯症って、どんな状態?
先天性部分無歯症(先天性欠如歯)というのは、生まれつき永久歯の一部が作られず、生えてこない状態のことをいいます。実はこれ、そんなに珍しいことではなく、1本以上の永久歯が欠けている人は人口の約10%もいると言われているんですよ。特に生えてこないことが多いのは、側切歯(前から2番目の歯)、第二小臼歯、そして親知らず(第三大臼歯)だそうです。
一方で、6本以上の永久歯が生まれつき欠けているような重いケースは「先天性無歯症(乏歯症)」と呼ばれていて、頻度は人口の約0.1%、だいたい1,000人に1人くらいと言われています。こうした重めのケースでは遺伝的な要因が強く関わっていると考えられていますが、原因はまだはっきりとは分かっておらず、遺伝以外にも胎児期の栄養状態やホルモンの影響なども研究段階で指摘されているところです。
歯が足りない状態をそのままにしておくと、残っている歯に噛む力の負担が集中してしまい、虫歯や歯周病になりやすくなったり、歯並びが乱れたり、発音がしづらくなったり、顎関節に負担がかかったり…と、いろいろな影響が出てくることがあります。見た目(顔まわりの印象)に関わることもあるので、特に成長期のお子さんにとっては、心のケアもとても大切なポイントです。
今できる治療法は「歯を補う」のが基本
現在、先天性部分無歯症・先天性無歯症の治療というと、失われた歯そのものを取り戻すというより、人工的に「補う」方法が中心になっています。
- 経過観察・矯正治療:欠けている本数が少ない場合は、乳歯をそのまま残して様子をみたり、矯正で隙間を閉じて歯並びを整えたりします。
- ブリッジ:両隣の歯を少し削って土台にし、連結した人工歯で欠けている部分を補う方法です。
- 部分入れ歯(義歯):取り外しできる人工歯で、噛む機能をサポートします。
- インプラント:顎の骨に人工の歯根を埋め込む治療です。欠けている歯が6本以上、または4〜5本以上連続して欠けているような重いケースでは、条件を満たした医療機関であれば「広範囲顎骨支持型装置」を使ったインプラント治療に公的医療保険が適用されることも。(自費診療の場合は1本あたり30〜40万円くらいが目安です)
どれも歯科医療としてとても頼りになる選択肢ですが、あくまで「人工物で補う」治療なので、患者さんご自身の歯が新しく生えてくるわけではないんですね。
世界初「歯生え薬」で、歯を”生やす”治験がスタート!
そんな中、まったく新しい発想の治療法として注目されているのが、京都大学発のスタートアップ「トレジェムバイオファーマ」が開発を進めている再生治療薬、通称「歯生え薬」です。
実は私たちの体には、普段は退化してしまって生えてこない「歯の芽(歯胚)」というものが存在しているそうです。この歯の芽の成長にブレーキをかけているのが「USAG-1」というたんぱく質。研究チームはこのUSAG-1の働きを抑える抗体医薬を開発し、2018年には歯の本数が少ないマウスやフェレットに投与したところ、なんと新しく歯を生やすことに成功したんです。
この成果をもとに、2024年からは医師主導治験がスタートし、安全性の確認が進められてきました。今は薬剤候補「TRG035」を使った第2相臨床試験が進行中で、2026年の夏には先天性無歯症のお子さん(2〜6歳)を対象にした投与治験も予定されているそうです。開発資金の面でも勢いがあって、2026年5月にはPreシリーズCラウンドで約8.5億円を調達し、国内外での臨床開発をさらに加速させていく方針とのこと。実用化の目標は2030年頃とされています。
出典
- トレジェムバイオファーマ株式会社(公式サイト)
- 「歯生え薬」26年夏にも患者に治験 京都大学発新興、8.5億円調達|日本経済新聞
- 京大発ベンチャーが世界初、「歯を生やす薬」を開発中―2030年頃の実用化目指す|知財図鑑
- “歯を再生する抗体医薬”を次段階へ──トレジェムバイオファーマ、PreシリーズCで約8.5億円調達|Kepple
- 歯の再生治療薬を開発する「トレジェムバイオファーマ」が8.5億円調達|創業手帳
- 先天性無歯症とは|北野病院
- 部分性無歯症|生まれつき一部歯が生えてこない症状…その治療法は?|五反田歯科
- インプラントで先天性欠如歯を治療するメリットと保険適用について|たけうち歯科
将来こうなったら凄い!
もしこの「歯生え薬」が実用化されたら、まず助けになるのは先天性無歯症のお子さんたちですが、その先にはもっと大きな可能性が広がっています。開発元も、将来的には虫歯や抜歯で歯を失った大人の「部分無歯症」や、高齢者の「オーラルフレイル(口腔機能の低下)」の改善への展開も視野に入れているんだそうです。
これが実現したら…「虫歯で抜いてしまった歯が、また自分の歯として生えてくる」なんて、まるでSFみたいな未来が本当にやってくるかもしれません。入れ歯やブリッジ、インプラントといった「人工物で補う」治療が当たり前だった歯科医療が、「自分自身の歯を再生させる」治療へと大きく変わっていく可能性を秘めているんです。噛む力の低下は全身の健康や認知機能とも関係が深いと言われているので、高齢になっても自分の歯でしっかり噛める社会が実現したら、医療全体へのインパクトもすごく大きそうですよね。
もちろん、今はまだ治験の段階。安全性や長く使ったときの効果の検証、承認までの道のりはこれからです。とはいえ、「歯が生えてくる薬」というアイデアが実際の治験として動き出していること自体、歯科医療にとって大きな転換点だと思います。今後の続報にも、ぜひ注目してみてくださいね。
まとめ
- 先天性部分無歯症は、1本以上の永久歯が生まれつき欠けている状態で、人口の約10%にみられる意外と身近なテーマ
- 6本以上欠けている重いケースは「先天性無歯症」と呼ばれ、頻度は約0.1%。遺伝などが関係していると考えられている
- 今の治療は矯正・ブリッジ・入れ歯・インプラントなど「人工物で補う」方法が中心
- 京都大学発ベンチャー「トレジェムバイオファーマ」が、USAG-1というたんぱく質の働きを抑えて歯を生やす「歯生え薬」を開発中
- 2024年から治験がスタートし、現在は第2相臨床試験が進行中。2030年頃の実用化を目指している
- 将来的には、虫歯などで歯を失った大人やオーラルフレイルの改善への応用も期待されている
歯を大切にして、笑顔の日々を送りましょ~!
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